確かここが魚志楼さん、と思う建物にたどり着きますが、暖簾がひっこめられており、営業をしていない様子です。
仕方ない、どこか違うところを探そうと思って写真だけ撮ろうとすると、女将さんらしい方が外へ出てきます。
今日は港の市場で、三国中の水産関係や、お料理やさんが集まって、一年に一回開催する魚祭りの日で、お店は休業状態なんです。申し訳ありません。
自分は海鮮豊富な定食でビールでもと思っていましたので、おっと、俺のちびっと苦手な甘エビか・・・それでもお祭りの目玉なら美味しいに違いないと、お願いすることにします。
皆さん、忙しくお祭り用の甘エビ丼を造って、市場に運ぶ準備をされているのを尻目に、座敷に座って、お茶をいただきます。
どうしようかと迷って居るときにタイミングよく、「ビールでもお出ししますか?」と・・・
前回、昼飯でビールを飲んで、歩いている途中でおしっこが我慢できなくなり、お菓子屋さんの「にしさか」さんで、無理をお願いした苦い経験があったので、悩んでいたのですが、タイミング良すぎて、つい・・・
瓶ビールを頼んで、チビッと飲んだ途端にでてきた甘エビ丼は甘辛い出汁と卵でとじたものででした。おいしくビールと一緒にいただきます。
お祭りの現場では「甘エビ丼」が売り切れとなり、早く補充を持ってこいとの催促の電話が入ります。
少し造りためてから持って行きたいと思っていた女将さん、まだ、八個しか出来てないけど、それだけでも持って行きますと。
そんな切羽詰まったところにゆっくり上がり込んで、ビール飲みながら一個奪ってしまったのかと、申し訳ない気持ちになります。
まあ、様子から、一個くらいでは、どうにもならない状態のようなので、まあいいかと開き直りつつ、無理言ってしまって迷惑かけたようでとお詫びします。
謝まるくまに、女将さん、これからある分だけ、市場に運ばせるので、お客さんもお祭りに行くなら、お送りしますよって、優しいお言葉を頂きます。
喜んでお言葉に甘えることにして、お勘定を済ませ、出発の準備が出来るまで、お店の写真を撮らせていただきます。
たどり着いた魚祭りは人気の店に行列ができています。
ほとんどのお店は店先で魚介類を焼いて供給するので、目の前で進行状態が分かるのでいいのですが、甘エビ丼は車で5分とはいえ、店で造るので、ちょっと事情が違います。
自分が車から降りて、市場を端から写真を撮り始めた途端に、持ってきたどんぶりは売り切れてしまったようで、魚志楼の店員さん手持ちぶさたのようでした。
端に、低い舞台が造ってあり、疑似競りが進行中でした。
甘エビ、烏賊や名前を忘れましたが小魚がぎっしり詰めたトロ箱が次から次と競りにかかります。
落札価格は一箱が900円から高くても1500円ですから、即決で競り落とされていきます。
って、言うと、活気のある競りみたいですが、素人が恥ずかしそうに小さい声でささやく数字を世話人が大きな声で復唱すると、ほとんどそれで決まってしまう形で、言った者勝ちという状況ではありました。
最高価格の1500円は珍しく、何人かが競った結果、高くなりすぎてしまったというところでした。
これは安い、と思いましたが、車できているのならまだしも、いや、その前に、独りの生活でトロ箱一つ買ってしまって、どうするんだと、あきらめます。
お昼ご飯を食べたばかりなので、色々摘まむ気にもなれず、雰囲気だけ楽しませてもらい、良い匂いの充満する市場を後にします。
途中、以前にトイレをおかりした「にしさか」で酒まんじゅうを自分用に購入。以前、事務所に買って行ったけど、あまり好評でなかった記憶があり、自分用だけにとどめます。
街の中をビラを持った団体さんがうろうろしています。いくつかの協賛店がサービス品を提供するツアーが企画されているようでした。
詳細はわかりませんが、参加費を払って、各店舗でのサービスチケットの付いたビラをもらい、三国の街の中を歩き回りつつ、チケットのお店を見つけてサービスを受けるというものようで、「にしさか」さんも協賛しているようでした。
お店をでて、みくにみなと通りを目指しますが、、ビラを持った団体さんが、大勢歩いていて、「にしさか」に曲がる道をまっすぐ行こうとしていたので、「にしさか」さんがこちらにありますよと、大きな声で案内してしまいます。
余計なお節介しながら、「竹よし」に到着。
先日、ネットで確認したところ、お抹茶とお菓子に小唄三曲の演奏をしてくれて1000円と書いてありました。
お店にたどり着くと中から三味線の音がしています。
玄関口は開放されているのですが、腰の高さの柵が立てかけてあって、一瞬入るのに戸惑います。
張り紙がしてあって、猫除けなので、開けて入ってくださいと書いてあります。
中に入ると男のお弟子さんがお稽古中でした。一段落するまで待っていてくださいねと竹よしさん。
今日は滝谷寺にお詣りして、魚志楼さんでビールでランチして、魚祭りまで参加して、もういいか状態になってきています。
疲れもでてきていて、竹よしさんから、三国駅まで歩いて帰ろうと思っていましたので、ゆっくり待ちますと応えます。
地元の世話役みたいな方が入ってきて、明日、朝に20人来るからなどとの話をされていて、団体さんで訪れる方もいるみたいです。
竹よしさん、ここでの指導の他に、福井新聞のカルチャースクールなどで福井でも教室を開いている有名人ですから、さもありなんと思います。
それでも、自分が待つ間に、何人かの観光客が入ってきますが、竹よしさんを知ってて入って来る人はいないようで、お稽古をしばらく見ては出て行ってしまいます。
皆が持っている観光マップには「竹よし」がどういうお店なのか紹介が出ていないので、どうしていいか分からなくて、観光客も入りにくいし、と言うところではないでしょうか?
観光スポットとしての価値は極めて高いと思うのですが、まあ、人それぞれで、三味線を聴きたいと思う人は少ないのかもしれません。
敦賀に帰って知人に三国で小唄を聴いてきましたという話をしたら、1000円は高いのでは?と言われて、まあ興味の無い人には、そうなのか、と思いました。
お稽古はまだ続くらしいけど、区切りをつけて、お抹茶を入れていただき、頂く間に、三味線の準備をしていただきます。
初めてですか?と訊かれて、前にお邪魔して、やはり小唄を聴かせていただき、是非、また来たいと思っていましたと。
壁に貼ってある、唄のメニューから好きな曲を三曲選んでくださいと言われますが、まったく分からないので選んでいただきます。
まずは、「相撲甚句」。三味線を生で聴く贅沢を楽しみますが、自分の好みからはちょっとテンポが速くてついて行けない感じがします。
続いては「川風」。唄の前に、歌詞の紹介をいただきます。
といいつつ良く覚えていないのですが、以下のような意味なのかと・・・
舟の中で差し向かいで三味線をつま弾きながら、歌っているとだんだんと甘いささやきに・・・下ろした簾が微かに風に揺れ、舟の真上にある月が川面を照らしている、っていうところかしら・・・
「川風」
ビクター邦楽名曲選 No.11 小唄名曲集
演奏:春日とよ五千代
川風に つい誘われて 涼み舟
文句もいつか口舌して
粋な簾の 風の音に
漏れて聞こゆる 忍び駒
粋な世界に 照る月の
中を流るる 隅田川
三味線も声も艶のある演奏で、自分にはこういう唄が合うようです。
続いて「から傘の」。これも自分には心地よかったです。
「から傘の」
ビクター邦楽名曲選 No.11 小唄名曲集
演奏:蓼 胡満喜
ビクター邦楽名曲選 No.11 小唄名曲集
演奏:蓼 胡満喜
から傘の骨は ばらばら
紙ゃ 破れても
離れ離れまいぞえ 千鳥掛
帰ってから、即、二曲の入った、CDをアマゾンしてしまいました。
そう言えば、歌っていただいているときにビデオを撮らせていただけるか訊くべきだったなと・・・
大満足で、三国駅に向かいます。
今回でほぼ、三国の全域を歩いたことになりますが、三国神社の御朱印をいただかなかったこと。
哥川のお墓をパスしてしまったこと。
今回勉強した、エッセルの突堤に行かなかったことなどなど、まだ、やり残したことがあり、再び訪れる必要があるなと、未練を残しつつで越前鉄道に乗ります。
帰りの電車の中で、来るときに興奮した、九頭竜川の鉄橋の写真を撮りたくて、アテンダントさんにお断りして、一番前で写真を撮りました。