Adio Kerida

この曲は”Olvidate de mi“の記事でも違う動画を貼り付けていました。

最近、この曲の入ったYasmin Levyのアルバム「Mano Suave」をアマゾンして、車で聴いているうちに、この曲が頭を離れなくなってしまい、改めてYouTubeでこの動画にたどり着いた次第。

“Adio Kerida”を検索すると、後述のドキュメント映画がでてくるので、この映画用に作られた音楽か?と考えてしまいましたが・・・

“Adio Querida”と、KをQuで置き換えて、You Tubeで検索すると、色々な人の演奏が山のようにでてきます。

最近の映画音楽などではなく、かなり広く歌われている著名な歌だろうという推測ができます。

ユダヤ(ヘブライ)の唄を集めたHebrewsong.comに”Adio Kerida”が載っています。

歌詞を一見すると、Yasmin Levyの歌詞と異なるように見えますが、Yasminは、サビの部分の”Aido、Adio Kerida・・・”から歌い始めているというところが違うので、同じ曲なのだと思います。

曲の説明に下記の表示があります。

LYRICS:Isaac Levy/Oshik Levy/Roni Eran

MUSIC:Ladino Folk

作詞者がクレジットされていることから、作者不詳のトラディッショナルと言うほど、古い唄ではないのかもしれませんが、Ladino語のフォークソングとして、ユダヤの人達に広く愛されている曲であると考えられます。ちなみに、Issac LevyはYaminの父上です。(Issacについては後述)

セファルディミュージックを説明したSephardicMusic.orgに、この曲に関して、短い説明があり、19世紀のヴェルディのアリアに基づく古い唄であるという説明がありました。

※ディスコバージョンです。Yasmin Levyの歌をコラージュしたようです。

Ladino語に関しては、以前、”Olvidate de mi“の記事で調べたことを書きましたが、もう一度整理し直してみました。

Ladino(ラディノ)語
後述のSephardim(セファルディム)の使用する言語。

特にスペインにおける方言を指し、ユダヤ・スペイン語の別名もあり、古スペイン語の原型を残すとの記述もある。

ここで述べるような言葉をWikipediaで検索すると言語選択にLadinoも出てきますので、無視できない勢力を有するのだと思います。

言語のみでなく、Ladino文化ともいうべき独特の世界を持つようで、Yasmin Levyの父Issacは宗教家なのですが、Ladino文化の研究者でもあったようです。(Wikipedia英語版ではイスラエルのラディノ語で唄うシンガーソングライター、Musicologist(音楽理論家)、ラジオプロデューサーとの紹介がありますが、宗教家と言う説明はありません。ただし、聖書の言葉を歌にしていたた、という記述があるので、宗教活動にも深く関わっていたものと考えられます。)

Diaspora(ディアスポラ)
Diasporaは「撒き散らされたもの」の意で、自分たちの国を追われて、離散した人達を指す。

特に、頭のDを大文字で記載する場合は、旧ユダヤの地から離散したユダヤ集団をさし、他民族を表現する場合には小文字で表現するのが通例なのだそうです。

Sephardim(セファルディム(複))
単数形はSephardi(セファルディ)

セファルディの基になる言葉「Sephard」はイベリア半島の「イペリア」と同義。

15世紀にユダヤの地を追われて、スペイン・ポルトガルまたはイタリア、トルコなどの南欧諸国に住み着いたDiasporaを指す。

Sephardim(セファルデイム)に対し、ドイツ語圏、あるいは東欧に住み着いたDiasporaをAshkenazim(アシュケナジム、アシュケナジ(単))と称する。Ladinoに対するアシュケナジムの言語はYiddish(イディッシュ)語(ユダヤ・ドイツ語)と呼ばれる。

アシュケナジという言葉は時々耳にします。

著名なロシアのピアニスト、ウラジミール・アシュケナジについて調べてみたら、彼の父はユダヤ系の人なのだそうで、Diasporaの歴史と関係がありそうです。

Wikipediaにアシュケナジの姓の記述がありますが、アシュケナジの姓を有する人はほぼセファルディなのだと記載されていて、なぜに?と、興味が広がってしまいます・・・

分離した離散者同胞に対する、複雑な思い入れがあるということなのでしょうか?

先に述べた、ドキュメント映画「Adio Kerida」はキューバ出身のアメリカの人類学者でミシガン大学の教授Ruth Befarが自分のルーツを求めてキューバを訪れるという映画です。

Ruth Befarの家族は、キューバに住んでいたアシュケナジムを先祖に持つトルコ系のセファルディムってちょっと複雑で、にわか勉強では理解しがたい・・・

キューバで、カストロの革命が浸透するにつれて、キューバに住むユダヤ人達のうち中間層、富裕層の人達は国外への脱出を計るようになり、Ruthも4歳の時にアメリカに移住します。

95%近くのユダヤ人が脱出したということですが、迫害を恐れたのか、財産保護という意味なのか確認できません。しかし、言い換えると大半のユダヤ人が裕福な暮らしをしていたという言い方ができるのかもしれません。

Diasporaは流れ着いた国で、土地を与えられることなく、公的職業に就くことも制限され、行商、金融業を営むことが多く、独自のネットワークを利して、力を得ていったようです。

ベニスの商人のユダヤ人金貸しシャイロックに象徴されるように社会から敵視されやすい面はあったけど、生活は安定する人が多かったということがあるのでしょうか。

Ruthは長じて、人類学を生業とするようになり、キューバの中で消滅していくユダヤ社会を求めて、キューバを訪れた時のことが映画のテーマになっているようです。

AdioKerida-1-

Ruthがドキュメントのタイトル、映画音楽によく知られているLadinoの古い歌を使用したということなのだと思います。

“Adio Kerida”の英訳は映画の副題になっている「Goodbye My Dear Loves」

タイトルは、愛する人との別れの唄のようで、特別な意味はないようですが、なにか民族的な意味があるのかもしれません。・・・と以前書いたのですが・・・

「さらば、愛すべき者達よ」と、キューバに、埋もれ、消えゆくユダヤのルーツに対する惜別の唄と解釈すべきなのかと、思いいたった次第です。

ちょっと、Yasminに入れ込んで、色々調べてしまいました。

ユダヤ民族がDiasporaとなっていく経緯、Diasporaがなぜ各国で迫害を受けたのか、パレスチナの混乱を生み出し、助長したものはなんだったのか・・・そして、究極に宗教とはなんなのか?

まだまだ、勉強して、整理したいことが沢山残っていて、疲れるのです。


Adio Kerida(Querida) Lylics

Ladino語の歌詞、および英訳はLylicstranslate.comを参照させていただきました。

Adio, Adio Kerida,
No quero la vida,
Me l’amagrates tu
Adio, Adio Kerida,
No quero la vida,
Me l’amagrates tu

Tu madre cuando te pario
Y te quito al mundo
Coracon ella no te Dio
Para amar segundo

Coracon ella no te Dio
Para amar segundo

Adio, Adio Kerida,
No quero la vida,
Me l’amagrates tu

Adio, Adio Kerida,
No quero la vida,
Me l’amagrates tu

Va, busacate otro amor,
Aharva otras puertas,
Aspera otro ardor
Que para mi sos muerta

Aspera otro ardor
Que para mi sos muerta
Adio, Adio Kerida,
No quero la vida,
Me l’amagrates tu

Adio, Adio Kerida,
No quero la vida,
Me l’amagrates tu

Adio, Adio Kerida,
No quero la vida,
Me l’amagrates tu

Adio, Adio Kerida,
No quero la vida,
Me l’amagrates tu

参考として、英訳の歌詞を下記に載せます。

“Goodbye My Beloved(Adio Kerida)”

Goodbye,goodbye beloved,I don’t want to live
You made my life miserable.

When your mother delivered you
and brought you to the world
she did not give you a heart
to love with….

Goodbye,goodbye beloved,
I don’t want to live
You made my life miserable.

I’ll go look for another love,
knock on other ports
in hope there is a true hope,
becuase for me you are dea

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA