上野の春

7日は、朝早く家を出て、東京に向かい、歩き回って、夕方の丸の内の大学同級会に向かうという行動計画をたてていました。

まず、東京都美術館で「新印象派展」を鑑賞。

その後に、根津神社まで歩いて、お詣りし、森鴎外記念館、安田楠雄邸庭園を鑑賞、時間が許せば、湯島天神、神田明神とお詣りしてから東京に向かうと言う物でした。

実は、昨夜遅くまで飲んでいたので、なかなか起きられずに、8時まで寝床に。朝風呂に入りながら、計画の見直しをします。

「新印象派展」の後は根津神社まで歩くけど、森鴎外、安田楠雄邸はパスして、そのまま丸の内に向かおうと。

上野に着くと、何となく春めいた香りが漂っています。

西洋美術館は3月まで、改修中で閉館になっていました。

国立博物館の「みちのくの仏像」展も魅力あるけれど・・・根津からお茶の水まであるかなければいけないので、パスしようと。

実は、スーラあるいは点描画に対して、今一入り込めないまま、来ていて、鑑賞にあまり時間を要さないだろうと思っていました。

展示の中で、スーラに影響を与えたミシェル・ウジェーヌ・シュヴレール「色彩の同時対照の法則」の記事を読んで、スーラの活動の基盤になる科学的根拠を知ります。

この展覧会でも展示があるピサロ、自分の好きな画家の一人ですが、ピサロはスーラ、シニャックを庇護して、主立った画家が去ってしまった1886年の最後の第8回印象派展に二人の出展を促しました。

スーラはここで練りに練った「グランドジャッド島の日曜日の午後」を発表します。

この作品はシカゴ美術館所蔵で、この展覧会には来ておらず、写真パネルが飾ってありました。

スーラはこの作品の製作のために膨大な量の部分的な試作やデッサンをしており、トライアルの絵の展示がありました。

まったく無知であったくまさん、分からないながらに興味を覚え、展示を理解しようとして、時間がかかり、結局11時に入って、会場を出たのが1時30分。

出口のところで、14寺から、三浦篤 東大教授の「新印象派の絵画―芸術と科学と社会」の講演会の案内があります。

どうしよう、ここで、昼飯食べとかないと、17時の同級会で腹が空かないなと思いましたが、まあいいかと、昼飯を抜く覚悟で、入り口のロビーのベンディングマシーンでアップルジュースを購入、一気に流し込んで会場に入りました。

昨夜が遅かったので大変に失礼ながら、眠気が勝ち、理解を深めるまでには至りませんでした。

スーラとシニャックの庇護者となった、ピサロ自身が、スーラの理論に影響を受け、数年の間、新印象派の手法を取り入れるようになります。

講演後の質問にピサロの新印象派に影響された期間に関する質問がありました。

グランドジャッド島の日曜日の午後.jpg
グランドジャッド島の日曜日の午後 Wikipedia:ジョルジョ・スーラ

先生のお考えでは、ピサロが数年で新印象派から離れたのは、スーラが1891年、31歳で夭折したことの影響はあったのであろうと、いうことでした。

さて、16時近くになって、もう根津に行って居る時間はないので、そうだ、お隣の国立博物館「みちのくの仏像展」に行こうと計画変更です。

大きな展覧会だと、また1時間、2時間ということになり、同級会に間に合わなくなりますが。

以前の「飛騨の円空」展と同じ会場であれば、大きなところではなく、お客も多いため、あまり時間をかけて拝観出来る状態ではありませんでしたのでまあ大丈夫かな?と。

東北三大薬師如来像が勢揃いで、そのうち福島勝常寺の薬師様は国宝なのだそうです。

自分のなかに、偏見があり、京都、奈良の文化の中にある宗教文化の流れ、その上流か下流かは別にして、滋賀、若狭の周囲の仏教文化を本流と見る気持ちがあるような気がします。

国立博物館 常設展示

要するに宗教、いや、おそらく、色濃い形で仏教に限定して歴史と結びつけて解釈しようという気持ちが強く、その狭い料簡が邪魔して、宗教伝播の歴史の流れが自分の中で説明できない「仏教」に対して、躊躇する自分が居るような気がします。

それは、きっと仏像の前に、お寺の建物があった自分の心の歴史に起因するのかも知れません。

仏様そのものでなく、仏像の入れ物に対する憧れから入ったということになります。その偏見が「みちのく」の言葉にためらいを感じたというところがあったということです。

国立博物館 常設展示

仏様が集まったお姿にお詣りしているとそのためらいはどこへ、で、御前に佇んでひたすら心の中で手を合わせているくまさんがいました。

それでも、最初におられた、鑿跡のくっきりした仕上がりの岩手天台寺の聖観音菩薩立像、最後におられた、青森常楽寺の円空仏、釈迦如来立像の素朴なお姿に、一番衝撃を受けました。

東北の円空像は翏山の像より初期のもので、丁寧な仕上げとなっていて、後期に行くほど、大胆な表現で荒々しさを示すようになっていったのだそうです。

図録集を求めて、まだ時間はありそうなので、常設展の仏像も拝観させていただきます。

西洋美術館、国立博物館は、常設展示品に関しては特記ない作品の撮影が許されるので、時間を要し、少し遅れて丸の内に到着しました。

くまじい
阿佐ヶ谷生まれの73歳

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