どんど焼  左義長(さぎっちょ)

夕方、ちょっとお疲れで暗くなるのを待って、車で、ひと眠り、また歩き始めます。

今年、2月、3月はかなり忙しいことを覚悟していたのですが、まあちょっとした事情で幸か不幸か、それ程切羽詰まった状況になりませんでした。

201302243470-1ということで毎年逃していた春のお祭りを、かなり根を詰めて廻ることができました。

金沢のライトアップ、永平寺のライトアップ、この左義長、お水送り、東山の花灯路、養浩館のライトアップとめぼしいところを廻りきったと思います。

3月2日、3日の大野の冬物語は逃しましたが・・・

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昼過ぎから歩いて、併せて7つから8つの櫓を廻ったでしょうか、暗くなってからの写真はやはり難しくて、三脚を取り出しますが、人が多くてなかなか難しい。

当たり前のことかもしれませんが、「お祭り」を撮るということはすなわち、「人間」を撮るこなのだなと思います。

神社仏閣、花と紅葉、山、海、空、雲、雪、夜などを相手にしてきて、その一瞬の表情を捉えるという、絵画を描くような気持ちで、カメラが好きになっていったという気がします。

201302243449とまあ、極めたような物言いですが、結果は決して伴っていません・・・と、いじけはともかく・・・

人間を撮る場合には、対象が自ら表情を変えてしまう、勝手に動いてしまう、同じ顔でもちょっとした角度で雰囲気が変わってしまう・・・

しまう、しまうの連続ですが、自分のコントロールができないところで、「風景」が気ままに流れて行く。

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あっ、と思った時はもう遅い、ともかく枚数を撮って、後でこれは少しまともか、と選別するのが関の山で、狙った通りに写真を撮るのが難しい。

まあ、必死こいて、いい写真がないことの言い訳しているみたい・・・

お正月に箱根駅伝を撮る時の様に、スポーツも同じ感じだとは思いますが、この子供も大人も、楽しくてしょうがないという人達を撮っていると、皆を覆う、浮かれた雰囲気をなんとか捉えたいという気持ちが強くなります。

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本当は、街中の、普通の生活をしている人達を撮りたいと言う気持ちは元々あります。

何気なく、歩いている、話に夢中になっている、公園のベンチで腰かけている人のどこを見るでもなく、ぼんやりとしているところ、などなど・・・

でも、いきなり、知らない人達にカメラを向けて、カシャカシャ撮るということは自分にはなかなか難しい。

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全く知らない人間が自分を対象にカメラを向けてきたら、自分は驚くし、嫌な想いをする。

自分は他人を正面から撮るときは、なるべくお断りして撮ることにしていますが、それでも、写真が変なことに使われないかなどと気になると思います。

というかなり、消極的事由で、「人間」は自分の撮影対象の外でしたが、お祭りはお断りもせずに、「人間」を撮る絶好のチャンスなんだと・・・つまらない結論に思い至ります。

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昼間にも一度お会いしていたのですが、仕事を一緒にしてるD君ご夫妻と再会、全部の櫓を廻りきったのだそうです。

このお祭りが気に入って、もう3回目なのだとか。奥さんの笑顔が素晴らしい・・・

どんど焼で焼く、竿付きの餅を買いにいくのだそうです。去年は売り切れで買うことができなかったので早めに行くのだとか。

201302243509-1お餅を焼くとなると、どんど焼が火の勢いが弱まるのを待たなければいけないので、かなり帰るのが遅くなりそうで、まあ遠くから写真を撮ることで我慢をします。

屋台の前を通り過ぎようとしていると屋台のおっちゃんと目が合います。

「もう屋台しまうから、善ざい安くするよ」と、お誘いにのって、覆いのある屋台の中で腰掛けて、残り物をいただき温まります。

おっちゃん福井市の人なんだそうですが、同じ町内会というFBCの人がベロンベロンになって入ってきて、しばらく話が盛り上がります。

仕事で来ているわけではなく、勝山在住の同僚と家で飲んでいたのだとか。

「俺達の町内会のどんど焼はまったく、気狂いなんだから。ちっちゃな神社なのにお構いなく、うず高く積み上げて火を付けるもんだから、火事にならない方が不思議なんだよ。」

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知らない人が消防に電話してしまって、大騒ぎになったことがあるとか・・・話が面白過ぎて、町の名前を忘れてしまいました。

どんど焼開始の9時が迫ってきました。

雪の桜並木を通り抜けて、どんど焼会場の弁天河原まで歩きます。足羽川の土手のように、桜の樹のアーケードが続きます。桜の時期もよさそうです。

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車で来た人達が河原に降りようとして、入り口で規制されています。
暗くなる前に、どんど焼の場所を確認しに来た時には車がどんどん河原に降りて行っていました。

規制しているオジサンに訊くと、どんど焼が近づいて来たので規制を始めたんだとか。

早いうちに来て停めてしまえばいいのかと思いましたが、出ようとしたら、大渋滞になって帰りが大変かもしれません。

河原を望む土手は既に多くの三脚が占領しています。三脚に場所どりさせて、カメラマン達はどこかで雪をしのいでいるようです。

どんど焼を撮るための格好な場所なのかと思います。

でも、遠くから俯瞰する感じは、あまりお祭りに参加する感じがしない。全体は見渡せなくても、もっと身近に観てみたいなと河原に降ります。

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雪が降り続くので、橋の下で降雪を避けようと言う気持ちもありました。
橋の下は雪は逃げられますが、寒さはしのげず、凍えそうになります。

一番近くでどんど焼を準備していたアンチャン達が、始まるまでの暖をとるために橋の下で、小さい焚火を始めてます。

あたらせてもらいながら、話を聞いていると。今年は雪は多くないけど、こんなに寒い左義長は最近ではなかったとのことでした。

9時ちょっと前に、神明神社で火をもらった松明の行列が到着。

それぞれの松明が12の町内会0+神明神社分の13か所のどんど焼の前に立って、一斉に火を移します。

どういうふうに撮ればいいのか、火勢が衰えない前にと、焦りますが、結果の確認をしている暇なく、撮り続けて、気が付くと、あっという間に、なんとなくどんど焼の勢いは峠を越えた感じになっていました。

雪はますますひどくなり、帰路が心配なので土手に上がっていきます。

土手に立って、全体を俯瞰してみますが、もう火勢が無いせいか、個々のどんど焼が孤立している感じがして、なんとなく寂しい感じがしました。

左義長まつりのホームページにある写真をお借りします。

どんど焼き
どんど焼き 勝山左義長ホームページ

土手の上でタイミングを狙って撮った写真だと思いますが、火の勢いが感じられる、本当に素晴らしい写真だなと思います。

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こう言う写真を目標に頑張ろうと・・・たどり着くことはないかもしれない、遠い道の気がしますが。

雪がさらに激しくなってきました。帰りを急ぐことにします。

勝山から福井に抜けるまでは恐ろしいほどの横殴りの吹雪が襲いましたが、高速に乗ると嘘の様に、穏やかな天気になりました。

左義長まつりは「奇祭」というよりは、厳しい奥越の自然の中で根付いた、人間臭いお祭りという印象でした。子供達の笑顔がしばらく目に残ってしまいそうです。

くまじい
阿佐ヶ谷生まれの73歳

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