目の上の傷口を見て、うろたえた「くま」さん・・・どうしよう・・・暫く考えこみます・・・大したことはないのではという気もする。
でもやはり古傷があるので、ちゃんとした方がいいなと・・・
ゴルフをご一緒したKさんに病院の手配をお願いしようと連絡をとろうと思いますが、内線のかけ方がよく分かず、携帯で電話します。
ホテルにチェックイン後、自分の部屋の番号を勘違いして、Kさんと別れて、違う方向に歩いていってしまいました。うろうろ探しましたが、間違いに気づき戻ります。
結局自分が歩いて行った方向と逆の方向のKさんの隣の部屋だったというお粗末がありました。
自分が向こうの方に歩いて行くのを見ていたKさん、明後日の方向の部屋を探しまくりますが、見つからず、暫くしてから顔を出します。
「全然違う方向に歩いて行ったじゃないですか・・・」って、怪我人に向って文句を言うなんて・・・
部屋番号をちゃんと確認すれば判るって言うの・・・って、自分がうかつでした、すんません。
アメリカの会社の人間に電話して、病院に行こうと。
連絡のついた近所の人が駆けつけてくれて、Kさん、同じく代理店のNさんとともに、病院(Ukiah Valley Medical Center)に向いました。
受付で一通りの質問を受け応えをして、診断用紙を作成。
この時、宗教はなにかとまで聞かれます。
ユカヤに向うベンツの中で、Kさんのお父さんがつい最近亡くなって、ようやく49日を終えたと言う話から、自分の父や兄の亡くなった時の話から、宗教についての考え方の話をしていました。
父も兄も無宗教で葬儀を望んだこと、でも、散骨にこだわるということはむしろ宗教的な行為なのではないのか、死後にこだわりのない自分はそういう意味では、最後の所で無宗教なのかもしれない・・・
などと、ブログで書いた様なことを話していたと思います。
<病院の紹介動画。タイトルバックはユカヤのお寺です。精進料理が楽しめます。>
受付で宗教は?と訊かれて、自分が少し口ごもってから、口を開きそうになった時に、Kさんがすかさず、「彼はブディストです。」と口を出します。
宗教を訊くのは死んだ時の葬儀をどうするかということのためだそうで、個人の宗教の思索を問うているわけではないので、確かに、あっさりと仏教と言っておくべきところ、言い淀む方がおかしいというところでしょう。
「くまさん、今、複雑なこと言おうとしてたでしょ。」って、人を見透かしたような言い方、俺を何だと思ってるんだ・・・
まあ、確かに、「まだ信じられていないけど、ブディストです」とか「仏教と神道との混合です。」とか余分な一言を言ってしまいそうだった気もします。
受付が終了すると、受付の傍らにある、小部屋で、白衣の人間に再度詳細に質問され、血圧、体温を測定されます。
医師ではなく、看護師による事前問診です。一人で受け答えしていたのですが、「今なにか薬を飲んでいるか?」の質問に困り果てます。
「糖尿病」がでてこない・・・えいやと「Sugar Blood」、言い換えて「Blood Sugar」などと言いますが、通じません。携帯翻訳器はホテルの部屋の鞄のなかです。
外にでて聞くとアメリカの会社の人間が「Diabetes」と教えてくれます。
事前問診が終了するとようやく医師のいる病室に通され、傷口の確認、目の動き等を確認されて、ベッドというのか手術台らしきものに寝かされます。
医師は事前問診の内容を把握していて、手早く診断してくれます。
こういう状況になると、専門用語がさっぱり分からないし、うかつなことが言えないと緊張してきて、口数が少なくなります。
医師がアメリカの会社の人間と話をしてくれて、会社の人間が日本人にわかるようにKさんに説明、Kさんが自分に日本語で説明してくれるという、英語全く駄目人間に陥ります。
先生、人の傷口の縁を指でめくって、「Two Stitches」って、えっ、2針も縫うの?
「自分は頭を以前打ったことがあるので、脳の確認をして欲しい」とここは必死に自分の口で先生に言いますが、頭の中に影響あるような衝撃ではないという判断で「その必要はない」とはっきり言われます。
瞼にズブリと麻酔注射をされて、すぐに縫い始めました。
痛いっ!と反応すると、もう一度麻酔をして縫合を継続。痛くはないけれど、糸の通る感覚が瞼にありました。
縫合の糸は暫くすると溶けるのだそうで、再来する必要はないこと、「お前の注意することは、シャワーを浴びている時に、顔を手でぬぐわないことだと」などの注意事項をもらって、先生は居なくなります。
事前問診した看護師が最後の注意事項を言い現れます。顔をゴシゴシしなければ風呂に入ってもいい、食い物の制限もない、酒はどんどん飲んでいいなどなど・・・
受付で代金を払おうとすると、今はまだ判らない、請求書を日本の住所に送る、おそらく700ドルくらいだろう、とのことでした。
日本に帰って確認すると会社が出張する人間には障害保険に入っているので、保障されることを確認して一安心。でも一度、脳内検査をしておこうと思っています。
10年前を思い出します。
自分達の仕事の応援に来てくれた若い人間がユカヤに着いた途端に部屋に閉じこもり切りになります。高熱が出て、動けないとのこと。
部屋に出向くと力のない表情で「大丈夫です。」を繰り返すだけ・・・
丸2日間位その状況が続き、ホテルで部屋の掃除をさせない男として評判になります。
どうしようか・・・
大丈夫と言いつつ、彼も不安になったらしくて、会社から与えられている、医療関連の連絡カードに記載されている番号に電話して相談したようです。
救急病院があるから行けと言われたそうで、たまたま来られていたKさんと相談して、同じ様にアメリカの会社の人間に連絡して、自分と同じ救急病院に行きました。
手続きはほとんど同じで、医師の見立てはインフルエンザ。(英語でfluと言うことを知りました。辞書を引くと、influenzaの略であるということなので、フルで言っても英語で通ずるようです。)
高熱がしばらく続いているのなら、もう峠は越えているだろう。ビタミン剤と水を十分に飲んでおけという指示と万が一を考えて鎮痛剤の処方を書いてくれて、終わりでした。
日本の病院だと、注射でもされて、山の様に薬いただいて、帰るというイメージですが、全く異なる対応で、まあ合理的でさっぱりしてていいなと感心した覚えがあります。
病院から帰ると時間は大分遅くなってしまっており、行こうかと話をしていたステーキ屋は少し遠いのと、時間的にも危ないので、市内にあるタイ料理屋で食事をすることにします。
ここはアメリカ料理が続いた時の日本人のオアシスで、タイ米のカレーでホッとするところです。
酒は飲んでいいとのことでしたが、飲む気持ちにはなれずに、お水で美味しいタイ料理を味わいました。
皆に心配をかけたうえに、食事を大分待たせてしまい、本当に申し訳ないことでした。