金糞岳(1317m)は伊吹山(1377m)に次ぐ、滋賀県第2の標高の山になり、360°の見晴らしが楽しめるとのことです。
野坂に登ると伊吹は雲に隠れていることが多いのですが、金糞はなだらかな山容をほぼ毎回確認できます。
山と渓谷社の「カー登山-高速道路で行く山登り-北陸自動車道」という本を持っています。南は滋賀県の小谷山から北は富山の剣岳までの北陸道沿線の山が記載されています。
伊吹山が除かれているのは不思議な感じがしますが、名神高速道など他のところで掲載されているということなのかもしれません。
この本はだいぶ前に購入したものですが、ここに記載されている滋賀県~福井にかけての山を走破してみたいなと考えていました。思い立ったのは古いのですが、全然進んでいません・・・
実は2年前に、金糞にはトライしたのですが、その時は登山口に行く道がわからずに、うろうろ走り回り、あきらめて、近くに見えていた伊吹山に目的地を変更してしまいました。写真はその時の伊吹の写真です。(今回山登りまでたどり着かなかったので、金糞の写真はありません・・・)
365号で敦賀への帰り道、金糞岳の右折標示を見つけました。どうしてこれが目に入らなかったのだろうと思いつつ、今度こそ・・・と。
その後伊吹に何回か行っていますが、金糞には行けていませんでした。正直言うと簡単そうなので、あまり食欲がわかずに後回しにしていたと言う面があります・・・
今回はもう少し調べ直し、でも結局は前回見つけた標識を目当てにすればいいやと甘えながら向かいました。365号を走っていると登山口に近い「近江高山」左折の標識がありますが、金糞の標示はありません。
もう少し先で曲がるのかなと交差点を過ぎようとすると、反対車線側上部にちょっと気になる標識の背中が見えます。交差点を通り過ぎてサイドミラーで確認すると、あの金糞岳の右折標示です。
要するに南側からの道にしか標示がないということのようで、北から来る場合は「近江高山」を目印とすることになるみたいです。
ともかくUターンして金糞に向かいます。途中標示はなにもなく、ともかく近江高山までくると「キャンプ場」の標示がありますので橋を渡って左折して川沿いに走るとキャンプ場にぶつかります。
キャンプ場の入り口に大きな金糞岳登山案内図が・・・
ガイドブックでは林道を行って駐車スペースに車を置いて登って2時間半とありましたが、林道入り口には落石のため進入禁止の標示があります。
写真の地図の総登山時間を計算するとキャンプ場から約5時間になります。ちょっと上までは無理かもしれないなと思いますが、行けるところまで行こうと・・・
キャンプ場の入り口に当たる橋で軽トラが止まり、老夫婦が何かしています。鮎の放流で、7月上旬の鮎の解禁に備えているとのことでした。
「どれくらい放流するんですか?」「250kgだね」・・・重量で言われても・・・軽トラ2台で分担して放流するのだそうです。
「アユたくかね?」「は?」「自分でアユを甘辛く煮るなら、水槽から飛び出てご臨終になったやつ上げるよ」
30匹ほどのグタッとした鮎を渡そうとしてくれます。思わず手が出るところでしたが、「これから山に登るのでちょっと無理です。」
「何時に降りてくるの?」「いやちょっとわからないので・・・本当に結構です。」
それでもきっと顔は欲しがっていたのだと思いますが・・・
右手の林道が上に登って行くのを見ながら平坦な沢沿いの道を歩き始めます。
右に別れた林道に、再び出会ったところが登山口になるはずですが、林道ははるか上の方に離れていったて気配もありません。少々、不安になります。
それでも可愛い花があって、寄り道が多くなります。
大分歩くと、軽ジープが一台止まっています。山菜採りかなにかしているみたい。すれ違おうとすると話かけてきます。
「どこ行くの?」「え~っと・・・金糞に登ろうと思ってるんですけど・・・」
「後、30分くらいでダムがあって林道側と東俣沢沿いの道に別れるんだけど、沢沿いは5時間、林道側でも4時間かかるよ。もう10時半だから帰りは暗くなっちゃうね。林道行けばすぐだったんだけど。」
「でも進入禁止になってたもんで・・・」
「フフッ、でも道が閉じられていなかっただろ?本当にダメだったら道を閉じてしまうよ。」
どうしようかと思いますが、このまま帰るのも癪にさわるし「無理しないで様子が分かるところまででも行ってみます。」「気をつけてね。」
しばらく歩くと沢道が大きく左に曲がり、沢を渡る橋があります。
橋の真ん中に標示があります。左東俣本流コース、右白谷、中津尾根コースとあり、さらに、「ここが地図に書かれた追分になります」との記載があります。
東俣本流コースの方が舗装された林道になっており、中津尾根側は山道になります。
さっきのおじさんの言っていたダムは見当たりませんが、右側を選ぶと車が一台止まっています。
そのまま上がると小さい堰堤にでます。「これがダムかしら?・・・・」
でもその「ダム」の周辺に進むべき道が見当たりません。堰堤脇を進むと、行き止まりでした。戻ると、流れの向こうに渡る、細い堰があります。
しかし、渡った先の踏み跡がはっきりしていません。
標示がないうえに道が分かり難い。これは自分の技量の範囲を超えているので、もう一度道を確認するため、再び橋のところまで降りて標示を確認します。
橋を渡ってもう少し歩けば、あのおじさんの言っていた本当のダムがあるのではないか、と橋を渡り、東俣本流側に確認しに行こうと思いますが、「東俣コースは中、上級者コースであり、初心者は進まないでください。」とあります。
やはり、右手に行ってあの堰を渡るしかないか・・・橋で一服してから再度確認しに行こうと、ザックの脇から水をとろうと手を伸ばすと手応えがありません。
そう言えば、登る前に車の中でザックの内部を整理していて、取りあえず水はこちらに置いといて・・・と車の中に置いたままだったようです。
なんとなく堂々と撤退できる口実ができたな、と内心ホッとして、引き返すことにします。
帰ってから調べても、多くの登山記は林道駐車場から歩くもので、キャンプ場からの道の正解がよく分かりませんでした。
下記の東俣本流コースの遭難記を見ると、小さな堰堤までの道まで一緒で、その先がわかり難くて、でも見つけられた、と書いてあります。
そう言えば軽トラのおじさんが「一人だと時間がかかる。」って言ってたけど、複数人数で相談しながら手分けして道を見出していく必要があるということだったのかもしれません。
素人と書いていますが、地図、GPSもきちんと用意して、非常食、ヤッケも持ち、単独行を避けています。
自分とは比較にならないほど準備をされていいます。自分がいかにいい加減かが思い知らされます。
引き返す道では山菜とりの家族連れが何組か車できていました。こんなことならあのアユもらっておけばよかったな・・・とぼやきながらひたすらキャンプ場を目指しました。
キャンプ場まで戻ってくると使用禁止の看板がある林道へ車が平気で入って行きます。1台、2台・・・と。あれでなくてはいけないのかと後悔。確かめに行く気にもならず、次回のリベンジを期します。
車の助手席に転がっていたエビアンの1リッターボトルで喉を潤し、帰り始めます。愛用していたボルビックはカビ騒ぎで1リッターボトルは店頭から姿を消してしまいました。
己高山でも迷ったし、ようやく麓まで辿り着いた金糞岳は入り口すら見つからず敗退と、どうも滋賀県の山はなかなか相性が合わないのかもしれません。
まあ、無理は絶対しないで、臆病過ぎる登山を細々と続けて、得る物は少なくても怪我も少ないという楽しみ方で行きたいと思います。
ようやく少しだけ様子が判ったし、想像していたより、はるかに山らしい山である事が判り、登りたい気持ちが強まりました。
是非再々度、のリベンジに来ようと思います。