ビンロウジ

12月1日、愛国学園大学で市民大学専門課程第3回「カンボジアにおけるビンロウジ噛み」。講師は同大学、人類学者の山﨑寿美子准教授。

まだ30代ではないかと思われる乙女チックな可愛い先生ですが、カンボジアの少数民族、ラオ族の生活に入り込んで、研究を続けておられる、筋の通った先生のようです。

今年2月に、「カンボジア北東部のラオ村における対人関係の民族誌ーもめごとへの間接的対処法ー」と、いささか長くて、難しそうな御本も出版されているのだそうです。

少し、色気をだしましたが、5,940円とお高い本で、ちょっと踏み出せないでいます。

「ビンロウジ噛み」ってタイトルだけ読むと、なんのことかわかりませんでしたが。開講式に配布された資料に先生の簡単な説明がでていました。

「ビンロウジとは椰子科の木の実のことで、東南アジアや、南アジアなどでは、嗜好品として噛む習慣があります。

キンマと呼ばれる胡椒科の葉っぱに石灰を塗りつけた、ビンロウジを入れて包み、口中に含んで噛みます。

本講義では、カンボジアを例に取り、このビンロウジ噛みが、現地の人々の生活にとって、如何に重要であるか、また、一方では社会の変化とともに、ビンロウジ噛みの慣習が廃れつつ傾向にあることなどを紹介します。」

上記文章ではビンロウジ、石灰およびキンマが出てきますが、講義の中で、もう少し、詳細な説明があり、タバコの葉を丸めて、歯に擦り込んでからビンロウジを噛むということでした。

ビンロウジは赤い実で、噛んでいると、赤い液が口に溜まってくるため、それを路上に吐き散らすので、習慣の無い周りの人々にとってはかなり汚らしく感じるものなのだと思います。

先生の研究は、ビンロウジそのものではなく、少数民族のラオ族の社会、文化研究の中で、見いだされた、コミュニケーションのツール、あるいは宗教的な側面も持つ、ビンロウジ噛みということのようです。

ラオ族でははビンロウジ噛みは女性に見られる習慣で、ビンロウジ噛みに必要なセットを間におき、噛み々をしながらコミュニケーションを図るということらしい。

また、ビンロウジを噛むことにより、死者の霊が降りてくる(憑依する)男性がおり、恐山のイタコ的な役割を果たしている例があるのだそうです。

色々と、お訊きしたいことが次から次と湧いてきましたが、聴講生の中にも過去にビンロウジ噛みに遭遇した方達が、何人も居られて、その方達の体験話が続々出てきて、質問時間が過ぎてしまい、残念でした。

40代以上の女性達間では、親しい仲間との付き合いで行われてきたらしいが、若い世代ではだんだんとビンロウジ噛みの習慣が薄れていているということです。

ものみの塔オンライン・ライブラリー」に、ビンロウジ噛みについて記載されていました。

同記事によるとビンロウジ噛みの習慣は東アフリカ、パキスタン、インド、東南アジア、パプアニューギニア、ミクロネシアなどに分布し、数億人、世界の10%に相当するにも達するのだそうです。

ビンロウジを噛むことにより、一時的な陶酔感、高揚感が得られるが、ビンロウジに含まれる、アルカロイド成分が常用癖を促すことが上げられる。

時間経過に伴い、歯が黒く変色し、口腔内粘膜が赤色に染まり、しわだらけになっていく。また、慢性的かつ進行性の炎症を引き起こす元になる可能性があり、さらには口腔ガンの原因になるともされているとのこと。

嗜好と弊害の因果関係は科学的に原因を説明出来ずに、統計的な話が多いので、恐ろしさが漠としたものになり、踏ん切れない人が多いような気がします。

しかし、ラオ族の中でも、若い人達には見られなくなってきているということはぺっぺっと唾を吐く汚らしさ、環境を赤く汚すこと、歯や口腔内の変色など、若い人達が嫌う傾向がでているということなのでしょう。

次回の専門課程も山﨑先生の講義で「カンボジアにおけるニワトリと人間の文化」といことで、先生の実体験に基づいた独自の感覚のお話を楽しみにしています。

今日、愛国学園大学では、我々の市民大学の他に、入学説明会が行われていて、お母さん連れの女子高生が大勢訪れてきていました。

愛国学園大学は人間文化学部、人間文化学科の1学部1学科の4年制女子大学で、「生活文化福祉コース」、「国際情報ビジネスコース」の2コース構成とのことです。

終了してから今日は駅前に出て、icoba四街道一丁目でお弁当を買おうと思っていたのですが、大学前横断歩道の長い信号を待つ間に気が変わり、近くのお蕎麦の「のの屋」に。

今日から値上げ、ということで、30円ほどメニューの値段が上がっていました。

でも、大盛り、卵、ご飯、大根おろし、ソバを揚げたおかきなどの無料サービスは変わらないと言うところが面白い。

値上げにも拘わらず、相変わらずの混雑で、なるべく詰めて座ったつもりでしたが、もう食事を終わって、だべりに入ってた常連らしい隣のおばさん二人の知り合いが入ってきて、人に席を移れと。

食事終わったお前達が立つのが礼儀だろう、との心の声を飲み込みつつ、素直に移りましたが、案の定、一言二言話をしたら、仲間を残して、オバさん達は出ていき、中途半端に空いた席に二人がポツンと座る形に。

まあ、どんどん席は埋まって行き、馴染みましたが・・・

くまじい
阿佐ヶ谷生まれの73歳

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA