観音の里’10

昨年の『ふるさとまつり』で「来年、高月は長浜に吸収されるので、このお祭りが継続できるかどうか判らないんです」と地元ボランティアの方達が不安そうでした。

長浜市高月町となった今年も、無事8月1日(日)に開催されることを知り、喜んで出向きます。

長浜市のホームページでの扱いが小さい様な気がしますが・・・

赤後寺 聖観音菩薩像
赤後寺 聖観音菩薩像

『ふるさとまつり』は年に一回、8月の第一日曜日に高月にある観音像、仏像を町民のボランティアによりご開帳するお祭りです。

渡岸寺国宝十一面観音像、石道寺の十一面観音像など、常時ご開帳されているものもあるのですが、大半の観音像、仏像は普段は公開されていません。

それでも、行けば連絡先が記載してあって、電話すると世話人の方が来てくれて、拝む事ができるようです。

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朝、ブログをアップして列車の時刻を調べたら、9時始めの新快速には間に合いそうもなく、近江塩津で乗り換えて11時半頃高月に到着の電車しかありません。

一瞬、車でと思いますが、なるべく歩きたいので、まあいいかと電車で行く事にします。

a0038D828C8E82CC92AC95C082DD乗り放題1,000円の循環バスのコースは昨年と同じ3コースに分かれています。

昨年は向源寺の渡岸寺十一面観音、石道寺十一面観音、伝教大師像のある高野神社が含まれるⅠコースの仏像、観音様をお参りしました。ほとんどバスに乗らずに、歩いてしまいましたが・・・

Ⅰコースに加え、木の本の己高閣、世代閣、鶏足寺まで足を延ばしたのでずいぶん歩き応えがありました。

おかげで己高山寺跡群と己高山を知ることになり、収穫の大きいお祭りでした。

八重桔梗
八重桔梗<八重の桔梗は知りませんでした・・>

今年は西野薬師観音堂を含んだⅢコースのバスに乗り、途中で赤後寺が含まれるⅡコースに移る計画です。

西野薬師観音堂で循環バスを降りると、丁度ガイド付きの観光バスも到着し、界隈がずいぶん賑わいます。

西野薬師堂
西野薬師堂

賑わう人達がシャカシャカ写真を撮りまくり、去って、そろそろと写真を撮り始めたころ、となりのオバサンが人に聞こえるようにつぶやきます。

「撮影禁止って書いてあるけど・・・」

西野薬師堂 薬師如来観音
西野薬師堂 薬師如来観音

えっ?と見ると確かに張り紙がしてあります・・・係りの人に謝ってカメラをしまいます。大勢がシャカシャカの時は黙ってて、俺が撮り始めたら、言うのか?とちょっと八つ当たり気味に・・・でも、自分が悪かったのは確かです。

係りの人はニヤニヤ笑って、しかたないなあと言う感じでした。ちょっと甘えて、撮ってしまった写真、申し訳ないことですが載せさせていただきます。

ご本尊を撮影するということについては、「四諦」について記事を書こうとして仏像の写真を探している時に、色々な議論があることを知りました。

十二神将 伐折羅大将
十二神将 伐折羅大将

自分は記憶の中にお姿をとどめるために、許される限り、撮影させていただき記録しておきたいと思います。

西野薬師堂は元、天台宗泉明寺に伝教大師が納めたとされる薬師如来、十一面観音、十二神将が祀られています。

薬師如来、十一面観音の年代は異なるようですが同じように木造漆箔造りの金箔が剥げて、漆肌なのでしょうか銅がね色というのでしょうか、味わいのある共通した色をされています。

西野薬師堂 十一面観音像
西野薬師堂 十一面観音像

お二人共ふくよかで信頼感がわく、落ち着いたお顔をされています。薬壺を持たない珍しい薬師如来像の体型がどっしりした感じで安定感があります。

高月町の案内には西野薬師堂(充満寺)と記載があり、西野薬師堂を後にして歩いていると裏に真宗大谷派の充満寺がありました。境内に親鸞聖人の像がおられました。

真宗充満寺
真宗充満寺

それにしても暑くなった中、正妙寺に向かいます。

途中で出会った女性がにこやかに笑いながら挨拶をしてきます。その女性とは最後の最後までご一緒になる機会がありました。・・・と言って、それだけのことなのですが・・・

渡岸寺の十一面観音像は今まで2回お参りしましたが、その都度、観音様に魅入られて動けずにいる女性を見かけました。

フォルクスワーゲンの軽 <スバルサンバーの改造車らしいです・・・>
フォルクスワーゲンの軽<スバルサンバーの改造車らしいです・・・>

女性が観音様に魅入られて立ちつくしている様子を見ていると、なにか切ないような愛おしさみたいな気持が湧いてきていいなと思います。

ご本人、色々な想いで立っておられるのであって、あらかんの勝手な思いは迷惑で、じじいがいやらしい目で見ているわというところでしょうが・・

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湖東山正妙寺の千手千足観音像はおそらくこの御一体しかなくいという珍しい観音像だそうです。

正妙寺千手千足観音像
正妙寺千手千足観音像

なにか人間の苦悶、悲しみ、願望を一身に受けて任せなさいって感じのちょっとユーモラスな感じのする観音様です。

必死さが高じて欲張りすぎて滑稽な感じになっている・・・等と言うと怒られるでしょうか・・・膝小僧が見える観音様も珍しいのだそうですが、これもなんとなく微笑みを誘う感じです。

正妙寺.
正妙寺.

泰澄の開山で最澄が復興させた己高山鶏足寺群、その七ヶ寺の一つの松尾寺。

ちなみに他の六寺は法華寺、石道寺、万願寺、安楽寺、円満寺、鶏足寺になります。

町のパンフレットには「まつお」と記載がありますが、地元の方達は「しょうび」が正しいとのことでした。

ついでですが青葉山登山の時にお参りした松尾寺は「まつのお」と読みます。

松尾寺
松尾寺

松尾寺は同じく己高山を冠した覺念寺(真宗)を抜けて登って行きます。

御本尊は不動明王、毘沙門天を従えた、端正なお顔の十一面観音像です。しばし、腰を据えて休みつつ、拝ませていただきました。

一面観音立像
一面観音立像

ボランティアの人たちの冷たい飲み物、飴やお菓子などののサービスがあり、町の人達のこのお祭りに対する愛着が伝わってきます。

今回は暑いので毎回冷たいお茶のサービスを受けてしまいます。

松尾寺
松尾寺

さらに、普門寺と東柳野観音堂に向かいますが、ちょうど循環バスが来そうなので利用することにします。

龍頭山普門寺の観音堂には薬師如来坐像と聖観音立像がおられました。聖観音は暗くてお顔がよくわかりませんでした。

仏像の写真を撮るときにはフラッシュを焚かないことを自分なりに原則にしており、光が不足して撮った写真のお顔もはっきりしていません。

普門寺聖観音像
普門寺聖観音像

こちらのボランティアの方達はかなり高齢な方達で、地域により、檀家さんの年齢層に偏りがあるのかなと思いました。

ここでもお茶を2杯もいただいて、川向こうの東柳野長命寺薬師堂に向かいます。

長命寺境内のさるすべり・・あちこちで盛りでした
長命寺境内のさるすべり・・あちこちで盛りでした

長命寺薬師如来は鎌倉初期の作と言うことですが、近年修復されたそうで、小さくて綺麗な如来像です。

係りの方は修復で色まで塗ってしまったので、良さが消えてしまった、汚れを落とすだけにすべきだったと残念そうでした。

修復前のお姿を知らないので何とも言えませんが、今のお姿も良いなと思います。

東柳野薬師堂
東柳野薬師堂

ここでⅢコースを外れて、Ⅱコースに移ります。長命寺は乗り継ぎのバス停ではないので、一番近い磯野寺まで川沿いに歩くことになります。 続きます。

くまじい
阿佐ヶ谷生まれの73歳

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