Facebookに一部記載しましたが、10月28日は石橋財団アートリサーチセンターでのワークショップ『円山応挙「牡丹孔雀屏風図」を楽しむ』へ。
「ワークショップ」は自分たちで作業するもので、以前、「熔ける、カタマル、わたしの思い」に参加させていただき、金属鋳造の入り口を勉強させてもらっています。
今回のワークショップはブリジストン美術館所蔵の円山応挙「牡丹孔雀屏風図」の孔雀の背に見られる緑色の岩絵の具、岩緑青のお勉強でした。
岩緑青の原料は銅鉱物のマラカイト(Cu2CO3(OH)2 )。鉱石を割ると、断面に孔雀の羽を広げたような扇状の文様がでるため、孔雀石と呼ばれる。
ちなみに孔雀図の青色は同じく銅鉱物の藍銅鉱、アズライト(Cu3(CO3)2(OH)2。岩群青、マウンテンブルーの呼び名があるそうです。
フェルメール・ブルーのラピスラズリ(瑠璃)はウルトラマリンブルーと称し、一見、マウンテンと対比の言葉に見えます。
ウルトラマリンの意味は原産地アフガニスタンから海を越えて来たことから名付けられているということなので、海と山の代表というような関係ではなさそうです。
ワークショップでは、岩絵の具原料の粒径の大小、焼成の有無による色の違い、溶剤(展色材)の違いによる風合いの違いを確認することになります。
まず、先生に用意していただいた孔雀石をハンマーで砕くところから始めます。
細かくなった砕片を乳鉢に入れ、磨りつぶしていきますが、粒度が細かくなるにつれて、緑色が淡い色に変わって行くのが解ります。
磨りつぶし、粒度を細かくした孔雀石の一部をフライパンで熱して、焼成します。
くまさん、焼成係を命じられましたが、顔料を焦げないようにかき回すためのヘラの柄が短くて、指が熱くて大変で、思うようにフライパンの底をこすることができません。
愛情が足りなかったせいか、岩絵の具がフライパンの底にほとんどが焼き付いてしまい、歩留まりが悪く、えらく製品が少ないことになりました。
焼成した原料、粒径を粗いままに残した原料も利用して、展色剤(溶剤)を利用して、絵の具を調整します。
展色剤は、日本画で使用されるニカワ、テンペラ画に用いられる卵白、水彩絵の具に使用されるアラビアゴム、油彩絵の具に使用されるリンシードオイルを用いて違いを感じることができました。
油彩絵の具はかなり時間をかけて練る必要があるとのことで、先生が練るほどに粘性を帯びるような気がしましたが、時間制限があり、10分程度の練りで終了、でも、ニカワ、アラビアゴムとの違いが解りました。
現在は油彩用、水彩用などは展色材で練り込まれ、そのまま使用出来る絵の具が市販されているので入りやすい感じがします。
それに対し、日本画の岩絵の具は粉末の状態で市販されているところから出発することになり、粉末の絵具をニカワで溶きながら絵に乗せていく作業はかなり根気の要る仕事だと感じました。
講師は大分県立美術館の榎本寿紀先生。こういうワークショップを継続的に実施されているとのことで、興味を持った人は大分に来て下さいと。
大分のワークショップで作製したというオリジナルの岩絵の具のコレクションを持参されていて、見せていただきました。
大分県立美術館はH26年竣工の美術館、ホームページをみると豊富な企画満載で、楽しそうですし、写真では建物がまた素晴らしい。
西洋美術館を始めとして、色々な美術館の入れ物にも、とても惹かれます。