2009加賀百万石まつりの行列と別れてから近江町市場を冷やかしで通り抜け、街を歩き出した途端にに感じのいいお店が・・

有名な老舗らしく、中に入ると女性客が何組か居て、興味津々に店員に色々訊ねています。冷やかしの「あらかん」は相手にされません。
華やかな加賀麩の他に麩の最中の中に入ったお吸い物とか味噌汁とか見たことのないものが並んでいます。麩をベースにしたスィーツの喫茶室も併設されている様です。
歩いていると面白い看板があちこちに、また暖簾をうまく使ったり、お店の顔に味があるお店が多く、歴史と歴史が磨いてきた街つくりのセンスが感じられます。
店の前にに立ち止まったり、道路の反対側に渡って写真を撮っているのでなかなか前に進みません。
おでん老舗とあります・・・
ふと見るとガラス窓の中にビクターの犬の模型・・・・金沢蓄音器館の看板が。
覗いてみると今から蓄音器の実演があるとの話ですぐ入館。
2階に上がると、容貌も話し方も、岸部シローを思い起こすおじさんの説明がもう始まっていました。
歴史的な蓄音器を次から次と聴かせてもらえます。電気を使わないで、なぜこんなに力強く鮮やかな音がでるのでしょう。
最後の方に聴かせていただいた蓄音器は、紙製の黒い大きなフォーンが付いています。演奏はフランク永井の「有楽町で逢いましょう」。フランク永井のボーカルがとろけるように柔らかい音で驚きました。
外にでるともう5時です。隣に石川菓子文化会館があり、2階に菓子ギャラリーがあるのですが、もう閉鎖されており、入れませんでした。
しばらく歩くと金沢城惣構の説明がある掘割が・・・左側の石堤は19世紀構築のもので、右側は復元したものだそうです。

通常は土手で構築されているのですが、城へ繋がる重要な道は石積みがされていたとのことです。
浅野川にかかる浅野川大橋の袂に主計町料理料亭街の看板のある主計町茶屋街がありました。

川沿いに可愛い料亭が並んでいます。ぐるっと廻ってみようと思い、裏の小路から歩き始めました。
しばらく歩いて、川沿いに出ようとすると、角に、「ギャラリー鏡花」※という看板がでていて感じのよさそうなお店があります。
もう閉店した様子ですが、ガラス窓に鼻ををつけるように覗き込んでいる「あらかん」に気付いた店主が「どうぞどうぞ」と中に招き入れてくれました。
近くに泉鏡花の生家跡に建てられたという泉鏡花記念館があり、閉館しているだろうなとあきらめて歩いていました。
名前からしてなんぞ縁があるのかなと思いましたが、関係はなさそうで、土地の産物が並んでいるお土産屋さんでした。(元の名を照の家というみたいです)
牛首紬という布で鼻緒を結った可愛い下駄がありましたが1万5千円と結構な値段です。
三大紬、「大島紬」、「結城紬」ともう一つが、白山市白峰の「牛首紬」なのだそうです。

白山開山の泰澄が白峰に守護神として祀った牛頭天王から牛首の名前が来ているとのこと。
店主の説明では蚕2匹で作られる玉繭というものを使用した紬が特徴ということでした。
玉繭で織った布はところどころにダマのようなものができており、素朴な味わいがあります。
玉繭を見せていただきましたが普通の繭はピーナッツのような形をしていますが、ほぼ円形のお饅頭のような形をした繭でした。
そのほかに金沢漆器、九谷焼、浅野川で晒す加賀友禅など面白いもの満載です。
有名どころに並んで湯呑茶碗あるいはタンブラーに使えそうな素朴な感じの焼き物がありました。
能登、羽咋市の気多大社の傍に窯のある、大社焼きというものでした。

素朴な土の色合いを大事にした焼き物で、大社の生の木の葉を焼きこんだ「真葉手」という手法が特徴のようです。
並んでいる器も模様は木の葉のみ、地味な色合いの単色の肌が好ましいです。
ビール飲むのによさそうだなとタンブラーを思わず一つお買い上げに・・・実は今飲みながら書いています。
気のせいかいつものMALT’Sがさらに甘さが強く感じられます。
支払をしていると店主の後ろに京都などで見かけた引出のある階段がありました。

写真を撮って良いかと店主に聞くと、待ってましたという感じで、店主の建物の説明が始まります。
この店は借りものということで、お店の持ち主が趣味の人で工夫を凝らして改装をしている。とのこと。
まあこのトイレを見てください。とトイレの引き手ドアの取っ手を見ると九谷焼でできています。そのドアを開けると正面の壁に金沢漆器の黒いパネルが張ってあります。
男子トイレと女子トイレの天井には加賀友禅・・・
さらに2階を見てくださいと連れて行かれると2階の壁は鮮やかな朱色に塗られています。
外を見ると雪止めを設けられた瓦が・・・
3階は今度は群青色の壁になっていて、階段の壁と3階の壁の色のコントラストが綺麗です。




目一杯感激して、お店の外にでて外観写真を撮ろうとしたら、ちょっとお待ちを、と一旦取り込んでしまっていた暖簾をかけてくれて一枚。
まあサービス豊かで、恐縮しっぱなしでした。
もう外は薄暗い感じです。大橋を渡り、そろそろ断念かなとボンヤリと街の地図を見ていると、可愛いお姉さんがどこ行くんですか?と聞いてきてくれます。東茶屋を聞くとすぐ近くとのことで道を教えてくれます。金沢の人の温かさが伝わってきます。
さすがにもう卯辰山はあきらめて、東茶屋だけでもと再び歩き始めました。
※「鏡花ギャラリー」と記載していましたが、改めました。