国立新美術館の「オルセー美術館」に行ったのはもう1ケ月前になります。
テーマの「ポスト印象派」の意味を調べてからと思っていたら、だらだらと時間が過ぎ、8月16日で美術展は終了しました。
美術展に関しては直後にその時感じたことをこのブログでメモしておくと、鑑賞した時の記憶がよみがえってきて、これは良い方法だなと思っていました。
すさまじい勢いで脳細胞が破壊進行している「あらかん」の自衛手段の一つになるかなというところです。
「オルセー」の記憶は薄れてしまっています。今回は記憶に自信がなくて、嘘が入る余地が大きい様な気がします。
と、書き出し方が判らなくて、言い訳ばかりで、なかなか本題に入れない・・・
考えると、自分は「ポスト印象派」の前に「印象派」がよく判っていません。
「印象派」の言葉は第一回印象派展に出展された下記のモネの「印象、日の出」を評論家がラフなタッチにあきれて「印象でしかない」(絵として認められないということ?)と酷評したのがきっかけということなのだそうです。
「ストラスブール美術館展」のショップで購入した雑誌「PEN」の「完全保存版 一冊まるごと印象派」に掲載されている、オルセー美術館の主任学芸員、カロリーヌ・マチューの言葉が自分には良く判る感じがしました。ちょっと長くなります。
「(印象派以前の絵画は宗教や神話を主題にしたもの、貴族の注文で描かれる肖像画など限定されたテーマで制作されていたが、)印象派の画家は今という同時代の美しさを描写することを目指しました」
「同時代の風物を題材に選ぶこと、これを実現したのがマネです。マネは近代化するパリを見事に捉えました。」
「そして、モネ、ルノワールらが新しい絵画の衝動を膨らませます。彼らは移ろいゆく一瞬を捉えようとし、絶えず変化する光に着目します。」
瞬間を捉える方法として、絵具をカンヴァスに素早く乗せ、タッチを残す「筆触分割」という手法の試みを始め、舞台を戸外に求めていきます。
「モネは雲の流れを絵筆でつまむようにカンヴァスにそっと置きました。」
下記はマチューが語ったのではなく、編集部の見解だと思います。若干、大胆にくくりすぎの気がします・・・
「印象派は光を追って制作した画家を総称する言葉で「流派」ではない。だから印象派に属する作家の作品は多様だ。
モネは光と水の反射に執心し、ルノワールは人体の上で光を、ピサロは土の上の光を、シスレーは岩やセーヌ川の上の光を追った。
ルノアールは正直言うと、苦手でしたが、雑誌に掲載されていた下の絵はいいなと・・・
従って厳密な意味でドガは印象派ではない。だが、踊り子の一瞬の動きを捉えようとした点は印象派と共通している。」
余談になりますが、同誌には8回の印象派展の経緯が示されています。
モネ、ルノワール達とドガの反目があり、ドガに反発してシスレー、ルノアールの離脱、モネも5回、6回と出展をしなかった、ピサロ、カイユボットが両者の仲介するのに苦心したなどの記述があります。
というところでポスト印象派の「オルセー美術館展」です。
夏休み旅行の北海道から7日に帰り、8日、9日と地元でゴルフの連荘。
さすがに、かなり疲れて、10日の土曜日に行くはずだった「オルセー」を日曜日に変更です。
参議院選挙に投票してからオルセー経由で敦賀に出発します。
土曜日は休養の予定でしたが、午後から庭の雑草取りして、逆に腰と脚がパンパンになってしまいました。
「オルセー」では2時間程度立ったままだったので、結構応えました。
今回の様に人気のある展覧会は人が多いので、疲れは倍加するような気がします。
入るのにも行列でしたし、中に入ってもゴッホの「アルルの寝室」、「星降る夜」など、人気の絵の前は人だかりがしています。
車椅子の方が多いのも驚きましたが、混んでいるときにはなかなか絵の前に行けずお気の毒です。
ボストン美術館展のあった六本木ヒルズとは反対側の東京ミッドタウン側に降ります。
地下は道がよくわからないので地上に出て、東京ミッドタウンに歩いていきます。
六本木ヒルズに比べると人が大分少ない様な気がします。中庭の様になっているところにオープンカフェが・・・美術展前に昼食をとります。
隣の店には女性客が多いなと思ったら、トシ・ヨロイヅカのお店でした。
「ワイン通」で有名なくせにテレビのバラエティ番組のテイスティングでいつもズッコケる女優さんの旦那さんの店だと思います。
国立新美術館に到着して写真を撮っていると、チケットを買いに行った奥さん、「チケット買おうとしたら、知らない人が、『招待券余っていて、期日が今日までだから』って2枚もらっちゃった」・・・のだそうです。
有り難く利用させていただきます。
「ポスト印象派」について再びマチューの説明を借りると・・・
「ポスト印象派の代表はセザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンなど。彼らは原始的な絵画に回帰しようとします。」
「たとえばラファエロが確立した遠近法を放棄する、中世のステンドグラスへの関心を示し、ゴッホやゴーギャンは輪郭線をくっきり描く。日本の影響も大きい。」
「印象派はポスト印象派にポスト印象派は、続くナビ派に新しい絵画を生み出すヒントを与えた。これらは触媒のように作用したのだ。」
「オルセー美術館展」の主催者である日本経済新聞は5月20日の第2部でオルセーの特集をしていました。
また、日経新聞のホームページにバーチャル美術館を設けて情報提供してくれています。
ポスト印象派に次ぐ絵画の流れを下記のように説明しています。
・新印象派
第8回の印象派展に出展したスーラおよびシニャックは印象派の始めた「筆触分割」をさらに精緻に分割した筆触方法を追求した。
・ポン・タヴェン派、ナビ派、象徴派
ゴーギャンに影響を受けたベルナール、ヴュイヤール、ドニ達が神秘性と装飾性を大事にした遠近法を無視した平面的な絵を始めた。
さらに精神的、内面的な面を追求したモロー、ルドンなどは象徴派と呼ばれる。これらの活動を総称して象徴派と呼ぶ場合もあるそうです。
これらとは異なり独自の世界を作り上げていたのが、ロートレック、ルソーが位置づけられるということです。
記憶が定かでないのですが、見慣れた印象派の絵とは雰囲気の異なる絵が並び、自分にとっては世界が広がる感覚がありました。
普段、絵から受けるイメージが大事で、背景は必要ないと考えていましたが、こういう整理をして、画家達の意図がある程度判ると、さらに絵が面白くなって来るような気がします。